火山の形とマグマのねばりけ|岩石を溶かして噴火させ、積もった形を見る教材
中学1年 / 第2分野 (2)大地の成り立ちと変化 ㋒火山と地震 ㋐火山活動と火成岩
「ねばりけが弱いと平たい形、強いと盛り上がった形」は覚えやすい一方で、なぜそうなるのかが実感しにくいところです。図で形を見せられても、納得はしにくい。
このツールは形を描きません。岩石を溶かして、流して、積もらせます。玄武岩の溶岩はさらさら流れて遠くまで届き、流紋岩の溶岩は火口のまわりですぐ止まります。噴火をくり返すと、その差がそのまま山の形になります。
同じ操作で、傾きの数値も出ます。玄武岩でつくった山はおよそ6度、安山岩は約19度、流紋岩は約42度。実際の楯状火山・成層火山・溶岩ドームとほぼ同じ角度です。
この単元で つまずくところ
- 形は「決められている」のではなく「結果」。 溶岩がどこで止まるかだけが決まっていて、山の形はそこから出てきます。ねばりけが強いほど急な斜面で止まれます。
- ねばりけは二酸化ケイ素の量で決まる。 多いほど(白っぽいほど)ねばりけが強く、溶ける温度は低くなります。
- 噴火のようすも変わる。 ねばりけが弱いと静かに流れ出し、強いと激しく飛び散ります。ツールでもそのとおりに出ます。
- 同じマグマでも岩石の名まえは2つ。 地表近くで早く冷えると火山岩(斑状組織)、地下深くでゆっくり冷えると深成岩(等粒状組織)。玄武岩と斑れい岩、安山岩と閃緑岩、流紋岩と花こう岩は、冷え方がちがうだけです。
- 途中で岩石を変えると重なる。 玄武岩で広いすそ野をつくってから流紋岩を流すと、平たい台地の上に急な頂ができます。実際の火山にもある形です。
このツールで 何が見えるか
- 岩石をえらぶ
- 流紋岩・安山岩・玄武岩の3つ。押すと炉に入ります。
- 炉の温度
- 炉の温度計のつまみを指で上下に動かします(600〜1300℃)。岩石ごとに溶ける温度がちがいます。何℃で溶けるかは書いていないので、上げながら見つけます。溶ける前から岩石がだんだん赤くなります。
- マグマ溜まりへ流す
- 溶けたマグマをつまんで、地下のマグマ溜まりまで運びます。**ここでねばりけが手で分かります**。さらさらのマグマは指にすぐついてきて、ねばねばのマグマは糸を引きながら遅れてついてきます。
- 噴火させる
- 火口を押します。溶岩が出て、火口から外へ順に流れて、固まります。出たては赤く、冷えると岩石の色になります。さらさらの溶岩は速く遠くまで、ねばねばの溶岩はゆっくりその場に盛り上がります。
- 積み重なる層
- 噴火のたびに層がひとつ増えます。断面のように見えるので、何回目の溶岩がどこにあるかが分かります。マグマ溜まりの中のあわの上がり方でも、ねばりけのちがいが見えます。
- 読み取り欄
- 山の高さ・すそ野の広さ・かたむき(度)が出ます。形の名まえは出しません。
- 岩石を見る
- 同じマグマからできた火山岩と深成岩を、大きく拡大して並べます。小さい粒の中に大きい粒がある斑状組織と、大きい粒がびっしりの等粒状組織のちがいが見えます。
授業での使い方
玄武岩を溶かして5回噴火させ、次に「山をならす」で消してから流紋岩で5回。同じ回数でまったくちがう形になることを見せます。
各自の端末で、3種類それぞれの山をつくって、かたむきを表に書かせます。実際の火山(マウナロア・富士山・昭和新山)の写真と見くらべさせます。
「玄武岩3回→流紋岩2回」のように途中で変えさせ、どんな形になるか予想させてから確かめます。最後に「岩石を見る」で、同じマグマから2つの岩石ができることを確かめます。
どの使い方でも、動かした条件はそのままURLに入ります。 画面の「リンクをコピー」を押して配れば、生徒の端末でも同じ画面が開きます。 生徒が見つけた条件のリンクを提出させれば、そのまま記録になります。
すぐ使える条件
あえて入れていないもの
中学校で教える形を優先して、省いている条件があります。 教科書や資料集の数値と合わないことがあるので、先に書いておきます。
- 溶岩の止まり方は「止まっていられる傾き=そのマグマの強さ÷その場所の厚さ」というきまりで出しています。厚いところはゆるく、うすいふちは急になるので、流紋岩はてっぺんの丸い溶岩ドームに、玄武岩はふちがうすく消えていく楯状の形になります。実際の溶岩の流れはもっと複雑ですが、できる形とかたむきは実際の火山とほぼ同じになります。
- 山の大きさは1ます=100mとして出しています。たてよこ同じ縮尺なので、画面の傾きは本当の傾きです。実際の火山より小さめですが、形とかたむきは変わりません。
- 火砕流・火山灰の降り積もり・カルデラは扱いません。
- 溶ける温度は、玄武岩1100℃・安山岩1000℃・流紋岩900℃としています。実際の岩石は幅のある温度でとけはじめます。
- はしまで流れた溶岩は画面の外へ出ていきます(海へ流れ出たものとしています)。
よくある質問
なぜスライダーで形を変える方式をやめたのですか?
形を式で描くと、動かして遊べても「なぜその形になるのか」が残らないためです。いまは溶岩を実際に流していて、山の形は積もった結果です。同じねばりけなら何回噴火させても斜面のかたむきは変わらない、ということも自分で確かめられます。
岩石が溶けません
炉の温度が足りていません。炉の温度計のつまみを指で上へ動かしてください。岩石によって溶ける温度がちがいます。白っぽい岩石ほど低い温度で溶けます。
マグマ溜まりへどうやって入れますか?
炉の中の溶けたマグマをつまんで、地下のマグマ溜まりまで運びます。点線の矢印が道を示します。運んでいるあいだの手ごたえで、ねばりけのちがいが分かります。
別の岩石を選ぶと山が消えます
新しい実験としてまっさらにしています。まぜた山をつくりたいときは、解説ページの「玄武岩→流紋岩」のリンクから開いてください。
山の形の名まえは出ませんか?
出しません。かたむきの数値が出るので、教科書の楯状火山・成層火山・溶岩ドームと見くらべてください。
層の色が同じで区別がつきません
同じ岩石だけで噴火させると同じ色の層が重なります。層の境目は細い線で出ています。途中で岩石を変えると色が変わるので、重なりがはっきり見えます。
